【Solidity】第2章第3回:複雑な条件式と論理演算子の応用

本記事では、Solidityにおける複雑な条件式の書き方と、論理演算子を活用した効率的なコーディングテクニックについて解説します。条件分岐をさらに高度に使いこなす方法を学びましょう。
0. 記事の概要
この記事を読むメリット
- 複雑な条件式の書き方を習得:複数の条件を効果的に組み合わせるスキルが身につきます。
- 論理演算子の応用力向上:条件分岐を効率化するためのテクニックを学べます。
- エラー防止:複雑な条件式でのよくあるミスを回避する方法を理解できます。
この記事で学べること
- 複雑な条件式の構築方法
- 論理演算子(AND, OR, NOT)の使い方と応用例
- 条件式に関連するエラーとその解決策
1. 複雑な条件式の基本

1.1 複数条件の組み合わせ
複雑な条件式では、複数の条件を論理演算子(&&
, ||
, !
)を使って組み合わせます。以下が基本構文です:
// 複数条件を組み合わせた構文
if (条件式1 && 条件式2) {
// 条件式1と条件式2が両方trueの場合に実行
}
if (条件式1 || 条件式2) {
// 条件式1または条件式2がtrueの場合に実行
}
1.2 コード例
// 年齢と会員ステータスを確認する例
function checkEligibility(uint256 age, bool isMember) public pure returns (string memory) {
if (age >= 18 && isMember) {
return "利用資格があります";
} else {
return "利用資格がありません";
}
}
動作解説
このコードでは、年齢が18以上で会員である場合に「利用資格があります」というメッセージを返します。
2. 論理演算子の応用

2.1 AND演算子(&&)
AND演算子は、複数の条件がすべてtrue
の場合にのみtrue
を返します。
// AND演算子の例
function isAdultAndMember(uint256 age, bool isMember) public pure returns (bool) {
return (age >= 18 && isMember);
}
2.2 OR演算子(||)
OR演算子は、いずれかの条件がtrue
の場合にtrue
を返します。
// OR演算子の例
function isEligibleForDiscount(bool hasCoupon, bool isVIP) public pure returns (bool) {
return (hasCoupon || isVIP);
}
2.3 NOT演算子(!)
NOT演算子は、条件の値を反転します。true
をfalse
に、false
をtrue
にします。
// NOT演算子の例
function isNotAdult(uint256 age) public pure returns (bool) {
return !(age >= 18);
}
3. よくあるエラーとその解決策

3.1 条件式の過剰な複雑化
条件式が複雑すぎると、可読性が低下し、バグの原因になります。
// 悪い例: 過剰に複雑な条件式
if ((a > 10 && b < 20) || (c == 5 && d != 3) || !(e < 2)) {
// 処理内容
}
// 改善例: 条件式を分割して簡潔に
bool isCondition1 = (a > 10 && b < 20);
bool isCondition2 = (c == 5 && d != 3);
bool isCondition3 = !(e < 2);
if (isCondition1 || isCondition2 || isCondition3) {
// 処理内容
}
対処法
複雑な条件式を分割し、変数を使って整理しましょう。
3.2 論理演算子の誤用
論理演算子の誤用により、意図しない動作を引き起こす可能性があります。
// 悪い例: 論理演算子の誤用
if (a > 10 & b < 20) { // 単一の&はビット演算子
// 処理内容
}
// 改善例: 正しい論理演算子を使用
if (a > 10 && b < 20) {
// 処理内容
}
対処法
論理演算子(&&
, ||
)とビット演算子(&
, |
)を区別して使用しましょう。
4. 練習問題
以下の課題に挑戦してみましょう:
- AND演算子とOR演算子を使用して、3つ以上の条件を評価する関数を作成してください。
- NOT演算子を使用して、条件式の結果を反転させる関数を作成してください。
5. まとめ
本記事では、Solidityにおける複雑な条件式の書き方と論理演算子の応用について学びました。これらを活用することで、柔軟かつ効率的なスマートコントラクトを作成できます。次回は、繰り返し処理(for文とwhile文)について解説します。