【Solidity】第3章第4回:コンストラクタ(constructor)の使い方

本記事では、Solidityにおけるコンストラクタ(constructor)の役割や基本的な使い方について解説します。コンストラクタはスマートコントラクトの初期化時に実行される特別な関数で、設定値の初期化や一度限りの処理を実行する際に利用されます。
0. 記事の概要
この記事を読むメリット
- コンストラクタの基本を理解:コントラクト初期化時の処理を実装できるようになります。
- 実践的なスキル習得:初期値の設定やアクセス制御の実装方法を学べます。
- 効率的なコントラクト設計:適切な初期設定を行うことで、安全性と効率性が向上します。
この記事で学べること
- コンストラクタの基本的な定義と使い方
- パラメータ付きコンストラクタの活用方法
- よくあるエラーとその解決策
1. コンストラクタとは?

1.1 コンストラクタの役割
コンストラクタは、スマートコントラクトがデプロイされる際に一度だけ実行される特別な関数です。主に以下の用途で使用されます:
- 初期値の設定
- コントラクトの所有者の設定
- デプロイ時に一度だけ必要な処理の実行
1.2 コンストラクタの基本構文
以下はSolidityにおけるコンストラクタの基本構文です:
// コンストラクタの基本構文
contract MyContract {
constructor() public {
// 初期化処理
}
}
2. コンストラクタの基本的な使い方

2.1 初期値を設定するコンストラクタ
コンストラクタを使用して、コントラクトの初期値を設定することができます。
// 初期値を設定するコンストラクタの例
contract ExampleContract {
uint256 public initialValue;
constructor(uint256 _initialValue) public {
initialValue = _initialValue;
}
}
動作解説
このコントラクトでは、デプロイ時に_initialValue
を引数として渡し、それをinitialValue
に設定します。
2.2 コントラクト所有者を設定するコンストラクタ
コンストラクタを使用して、コントラクトの所有者を設定することも可能です。
// 所有者を設定するコンストラクタの例
contract OwnedContract {
address public owner;
constructor() public {
owner = msg.sender;
}
}
動作解説
このコントラクトでは、デプロイしたアカウント(msg.sender
)が所有者として設定されます。
3. パラメータ付きコンストラクタの活用
3.1 複数のパラメータを使用した例
// 複数のパラメータを使用するコンストラクタ
contract MultiParamContract {
string public name;
uint256 public totalSupply;
constructor(string memory _name, uint256 _totalSupply) public {
name = _name;
totalSupply = _totalSupply;
}
}
動作解説
このコントラクトでは、_name
と_totalSupply
の2つのパラメータを受け取り、それぞれname
とtotalSupply
に設定します。
4. よくあるエラーとその解決策

4.1 デプロイ時の引数不足
コンストラクタが引数を必要とする場合、デプロイ時に全ての引数を渡す必要があります。
// 修正例
constructor(uint256 _initialValue) public {
require(_initialValue > 0, "初期値は0より大きくなければなりません");
initialValue = _initialValue;
}
4.2 不適切な初期化
コンストラクタ内で正しい型や値を使用しないと、予期しない動作が発生します。
// 修正例
constructor(string memory _name) public {
require(bytes(_name).length > 0, "名前は空であってはなりません");
name = _name;
}
5. 練習問題
以下の課題に挑戦してみましょう:
- デプロイ時に3つの初期値(名前、所有者アドレス、数値)を設定するコントラクトを作成してください。
- パラメータ付きコンストラクタを使用して、ERC20トークンの初期設定を行うコントラクトを作成してください。
6. まとめ
本記事では、Solidityにおけるコンストラクタの基本的な使い方について学びました。コンストラクタを活用することで、コントラクトの初期設定を効率的に行うことが可能です。次回は、関数修飾子(modifiers)の定義と応用について詳しく解説します。