【Solidity】第6章第7回:トークンミンティング(発行)とバーン(焼却)

本記事では、トークンミンティング(新しいトークンの発行)とバーン(既存トークンの削除)の基本概念とSolidityによる実装方法について解説します。トークン供給量を動的に管理するスキルを学びましょう。
0. 記事の概要
この記事を読むメリット
- ミンティングとバーンの基本理解:トークンの供給量を動的に管理できます。
- 実践的なスキル:Solidityでのトークン管理機能を実装できます。
- 応用力の向上:トークン経済モデルの設計に役立てる知識を習得できます。
この記事で学べること
- トークンミンティングとバーンの基本概念
- Solidityによる実装手法
- トークン供給量の動的管理の実践例
1. トークンミンティングとバーンの基本

1.1 トークンミンティングとは?
トークンミンティング(Minting)は、新しいトークンを作成し、特定のアドレスに供給するプロセスです。この機能は、以下のユースケースで使用されます:
- 新しいプロジェクトの資金調達
- ユーザーへのリワード発行
- ステーキングやインセンティブ設計
1.2 トークンバーンとは?
トークンバーン(Burning)は、既存のトークンを削除し、供給量を減らすプロセスです。この機能は、以下の目的で使用されます:
- トークンの希少性を高める
- インフレーションの抑制
- プロジェクトの価値を保つ
2. Solidityによるミンティングとバーンの実装

2.1 ミンティング機能の実装
// ミンティング機能の基本コード
pragma solidity ^0.8.0;
import "@openzeppelin/contracts/token/ERC20/ERC20.sol";
import "@openzeppelin/contracts/access/Ownable.sol";
contract MintableToken is ERC20, Ownable {
constructor() ERC20("MintableToken", "MNT") {
_mint(msg.sender, 1000 * 10 ** decimals()); // 初期供給
}
function mint(address to, uint256 amount) public onlyOwner {
_mint(to, amount);
}
}
動作解説
このコードでは、mint
関数を使用して新しいトークンを発行できます。onlyOwner
修飾子を使用することで、ミンティング権限をコントラクトの所有者に制限しています。
2.2 バーン機能の実装
// バーン機能の基本コード
pragma solidity ^0.8.0;
import "@openzeppelin/contracts/token/ERC20/extensions/ERC20Burnable.sol";
contract BurnableToken is ERC20Burnable {
constructor() ERC20("BurnableToken", "BRN") {
_mint(msg.sender, 1000 * 10 ** decimals()); // 初期供給
}
}
動作解説
このコードでは、ERC20Burnable
を継承することで、ユーザー自身が保有トークンをバーンできる機能を実装しています。
2.3 ミンティングとバーンの統合
// ミンティングとバーンを統合したトークン
pragma solidity ^0.8.0;
import "@openzeppelin/contracts/token/ERC20/extensions/ERC20Burnable.sol";
import "@openzeppelin/contracts/access/Ownable.sol";
contract MintableBurnableToken is ERC20Burnable, Ownable {
constructor() ERC20("MintableBurnableToken", "MBT") {
_mint(msg.sender, 1000 * 10 ** decimals()); // 初期供給
}
function mint(address to, uint256 amount) public onlyOwner {
_mint(to, amount);
}
}
動作解説
このコードでは、ミンティングとバーン機能を1つのコントラクトで統合しています。プロジェクトに応じて柔軟な供給管理が可能です。
3. ミンティングとバーンを活用するメリット

3.1 トークン経済の柔軟性
ミンティングとバーンを活用することで、トークン供給量を柔軟に管理でき、以下のような経済的メリットを得られます:
- トークン価値の安定化
- ユーザーインセンティブの設計
- 長期的なプロジェクト成長の促進
3.2 ユースケースの広がり
これらの機能は、ステーキング、デフレ型トークン、リワードシステムなど、さまざまなユースケースで活用できます。
4. 練習問題
以下の課題に挑戦してみましょう:
- 特定の条件下でのみミンティングを許可する機能を追加してください。
- バーン機能を使用して、全ユーザーのトークンを一定割合削減する仕組みを実装してください。
5. まとめ
本記事では、トークンミンティングとバーンの基本的な概念と実装方法について解説しました。これらの機能を活用することで、トークン供給量を動的に管理し、プロジェクトの成長を支えるトークンエコノミーを設計できます。