【Solidity】第8章第5回:Gas料金の見積もりと節約方法

本記事では、EthereumのスマートコントラクトにおけるGas料金の基本概念と、その見積もり方法、さらに効率的な節約方法について解説します。Gas料金を最適化することで、コスト削減だけでなく、ユーザーの利便性を高めることが可能です。
0. 記事の概要
この記事を読むメリット
- Gas料金の基本を理解: Ethereumネットワーク上でのトランザクションコストの仕組みを学べます。
- コスト効率化の手法を習得: Gas消費を抑えるための具体的なテクニックを学べます。
- 開発の質を向上: Gas最適化により、高パフォーマンスなコントラクトを作成できます。
この記事で学べること
- Gas料金の基本的な仕組み
- Gas使用量の測定と見積もり方法
- Gasを節約するためのベストプラクティス
1. Gas料金とは?

1.1 Gas料金の基本概念
Gas料金は、Ethereumネットワーク上でスマートコントラクトを実行する際に発生する手数料です。この料金は、ネットワークの使用量に応じて計算され、以下の要素で構成されます:
- Gas使用量: コントラクトの処理に必要な計算量。
- Gas単価(Gas Price): トランザクション送信時に設定する1 Gasあたりの価格。
- 合計料金:
Gas使用量 × Gas単価
で計算。
1.2 Gas料金の役割
Gas料金は、Ethereumネットワークの健全な運用を支える重要な要素です。具体的には以下の役割を果たします:
- ネットワークの混雑を防ぐ。
- リソースの公平な分配を実現。
- 無駄な計算リソースの使用を抑制。
2. Gas使用量の測定と見積もり
2.1 Gas使用量を測定する理由
スマートコントラクトを効率的に設計するためには、Gas使用量を正確に把握することが重要です。これにより、無駄なコストを削減し、ユーザー体験を向上させることができます。
2.2 Gas使用量の測定例

// サンプルコード:Gas使用量の測定
pragma solidity ^0.8.0;
contract GasExample {
uint256[] public numbers;
function addNumber(uint256 num) public {
numbers.push(num); // 配列に値を追加
}
function calculateSum() public view returns (uint256) {
uint256 sum = 0;
for (uint256 i = 0; i < numbers.length; i++) {
sum += numbers[i]; // 配列の値を合計
}
return sum;
}
}
動作解説
- Gas消費の計測:
addNumber
関数は、配列に値を追加する際にGasを消費します。 - 配列の操作: 配列の長さが長くなるほど、
calculateSum
関数のGas使用量が増加します。
2.3 Gas消費を測定するツール
以下のツールを使用すると、Gas使用量を正確に測定できます:
- Remix: コントラクト実行時にGas消費を確認可能。
- Hardhat Gas Reporter: テスト中にGas使用量をレポート。
- Ethers.js: トランザクションのGas使用量をプログラムで取得。
3. Gas料金を節約する方法

3.1 コードの最適化
以下のテクニックを使用してGas消費を削減できます:
- ストレージアクセスを減らす(例: ストレージ変数ではなくメモリ変数を使用)。
- ループ回数を減らす。
- シンプルで効率的なアルゴリズムを設計。
3.2 ネットワークの選択
テストネットや混雑の少ないタイミングでトランザクションを実行することで、Gas単価を節約できます。
3.3 オフチェーン処理の活用
計算量の多い処理をオフチェーンで行い、結果のみをオンチェーンに記録することで、Gas消費を抑えることが可能です。
4. 練習問題
以下の課題に挑戦して、Gas料金の最適化を実践してみましょう:
- 上記のコードを実行し、Gas消費量を測定してください。
- コードを最適化し、Gas使用量を削減してください。
- Hardhat Gas Reporterを使って、Gas使用量をレポートしてください。
5. まとめ
本記事では、Gas料金の基本概念、測定方法、そして節約のための具体的な手法について解説しました。Gas最適化はコスト削減だけでなく、スマートコントラクトの効率向上にも繋がります。これを機に、Gasに対する理解を深め、質の高いコントラクトを開発しましょう。