【Solidity】第8章第8回:スマートコントラクトのバージョン管理

本記事では、スマートコントラクトのバージョン管理について解説します。適切なバージョン管理を行うことで、長期運用における安全性と拡張性を確保できます。
0. 記事の概要
この記事を読むメリット
- スマートコントラクトの変更履歴を管理: 安全にバージョン管理を行う方法を学べます。
- リスクを最小限に: 過去のバージョンにロールバックする方法を理解できます。
- 開発フローの効率化: HardhatやTruffleを使ったバージョン管理手法を習得できます。
この記事で学べること
- スマートコントラクトのバージョン管理の必要性
- バージョン管理のためのツールと手法
- バージョン管理の実践例
1. スマートコントラクトのバージョン管理とは?

1.1 バージョン管理の重要性
スマートコントラクトのバージョン管理は、以下の理由で重要です:
- バグ修正の対応: コントラクトにバグが見つかった場合、迅速に修正できる。
- 機能追加の柔軟性: 既存のコントラクトに新機能を追加できる。
- データの引き継ぎ: ユーザーの資産や状態を維持しながら新しいバージョンに移行可能。
2. バージョン管理の手法とツール
2.1 Hardhatを活用したバージョン管理
Hardhatを使用すると、異なるバージョンのコントラクトをデプロイし、履歴を管理できます。
// Hardhatで異なるバージョンのコントラクトを管理する例
const { ethers } = require("hardhat");
async function main() {
const OldContract = await ethers.getContractFactory("OldContract");
const oldContract = await OldContract.deploy();
await oldContract.deployed();
console.log("OldContract deployed to:", oldContract.address);
const NewContract = await ethers.getContractFactory("NewContract");
const newContract = await NewContract.deploy();
await newContract.deployed();
console.log("NewContract deployed to:", newContract.address);
}
main().catch((error) => {
console.error(error);
process.exit(1);
});
動作解説
- 旧バージョンのデプロイ:
OldContract
をデプロイ。 - 新バージョンのデプロイ:
NewContract
をデプロイし、アドレスを記録。 - 管理の簡素化: Hardhatを使用することでバージョン管理が容易になる。
3. コントラクトの変更管理の実践

3.1 データの移行
バージョンを変更する際に、ユーザーデータを引き継ぐ必要があります。ストレージを維持するProxyパターンを活用するのが一般的です。
3.2 コントラクトの変更管理の実践方法
// Solidityでデータを移行する例
pragma solidity ^0.8.0;
contract OldContract {
uint256 public data;
function setData(uint256 _data) public {
data = _data;
}
}
contract NewContract {
uint256 public data;
function setData(uint256 _data) public {
data = _data;
}
}
4. 練習問題

以下の課題に挑戦して、バージョン管理の実践スキルを向上させましょう:
- 異なるバージョンのスマートコントラクトをデプロイし、動作を比較してください。
- 新しいバージョンにデータを移行する方法を考えてください。
- Proxyパターンを用いたバージョン管理を試してみてください。
5. まとめ
本記事では、スマートコントラクトのバージョン管理について解説しました。適切なバージョン管理を行うことで、安全にアップグレードしながら長期的にスマートコントラクトを運用することが可能です。