【Vyper】第5章第1回:セキュリティ対策:安全なコントラクト開発の基本

本記事では、Vyperを使用したスマートコントラクトのセキュリティ対策について解説します。安全なコントラクトを開発するための基本原則を学び、攻撃リスクを最小限に抑える方法を習得しましょう。
0. 記事の概要
この記事を読むメリット
- スマートコントラクトのセキュリティリスクを理解できる
- 安全なコーディングのベストプラクティスを学べる
- Vyperを用いたセキュアな開発手法を習得できる
1. スマートコントラクトのセキュリティリスク

スマートコントラクトはブロックチェーン上で実行されるため、一度デプロイされると変更ができません。そのため、開発時にセキュリティリスクを考慮することが重要です。
1.1 スマートコントラクトの主な脆弱性
- 再入可能性攻撃(Reentrancy Attack): 外部コントラクトが再帰的に呼び出されることで資金が奪われる
- 整数オーバーフロー/アンダーフロー: 計算結果が範囲外になり、不正な動作を引き起こす
- アクセス制御の不備: 権限管理が適切でないと、悪意のあるユーザーがコントラクトを操作可能
1.2 セキュリティ対策の基本
- 関数修飾子(Modifiers)を使用してアクセス制御を強化
- 整数演算の安全性を確保する
- 外部コールの順番に注意し、reentrancy防止策を実装
2. Vyperでのセキュリティ対策
Vyperには、セキュリティ対策を強化するための機能がいくつか備わっています。適切なコードの書き方を学びましょう。
2.1 再入可能性攻撃を防ぐ
@public
@payable
def withdraw(amount: uint256):
assert self.balance >= amount, "残高不足"
self.balance -= amount # 先に状態を更新
send(msg.sender, amount) # その後送金
動作解説
- assert self.balance >= amount – 送金前に残高チェック
- self.balance -= amount – 先に状態を更新し、攻撃を防ぐ
2.2 アクセス制御を強化

owner: public(address)
@public
def change_owner(new_owner: address):
assert msg.sender == self.owner, "許可されていません"
self.owner = new_owner
動作解説
- assert msg.sender == self.owner – 関数の実行者が所有者であることをチェック
- self.owner = new_owner – 所有者の変更
3. 練習問題

3.1 練習問題
以下の課題に挑戦してください。
- 整数オーバーフローを防ぐチェック機能を追加する
- 管理者のみが特定の関数を実行できるように制限する
4. まとめ
本記事では、Vyperを使用したスマートコントラクトのセキュリティ対策について学びました。次回は、コードの再利用を促進するライブラリとモジュール化について解説します。