【Vyper】第5章第4回:デザインパターン:スマートコントラクトの設計指針

本記事では、Vyperを用いたスマートコントラクトの設計において推奨されるデザインパターンを解説します。安全で拡張性のあるコントラクトを作成するためのベストプラクティスを学びましょう。
0. 記事の概要
この記事を読むメリット
- スマートコントラクトの設計パターンを理解できる
- 安全性と可読性を向上させる設計手法を学べる
- 実践的なコーディング例を通じて応用力を身につける
1. スマートコントラクトの設計パターンとは?
デザインパターンとは、よくある問題を解決するためのコード設計の手法です。適切なパターンを採用することで、コードの安全性、拡張性、保守性を向上させることができます。
1.1 デザインパターンの利点
- コードの可読性向上: 直感的に理解しやすい設計
- セキュリティ強化: よくある攻撃手法への耐性を向上
- 開発効率の向上: 再利用可能な構造を活用
1.2 Vyperに適した設計パターン
- オーナーシップパターン: コントラクト管理者を明確にする
- ファクトリーパターン: 他のコントラクトを動的に生成
- ステートマシンパターン: 状態遷移を明示的に定義
2. オーナーシップパターン

オーナーシップパターンは、スマートコントラクトの管理者を明確にするためのパターンです。これにより、不正な変更を防ぐことができます。
2.1 オーナーシップの実装
owner: public(address)
@public
def __init__():
self.owner = msg.sender
@public
def change_owner(new_owner: address):
assert msg.sender == self.owner, "許可されていません"
self.owner = new_owner
動作解説
- self.owner – コントラクトの所有者を格納
- change_owner関数 – 所有者のみが変更可能
2.2 オーナーシップの応用

オーナーのみが特定の機能を実行できるようにすることが可能です。
@public
def restricted_function():
assert msg.sender == self.owner, "権限がありません"
# ここに特定の処理を実装
動作解説
- 関数実行者がオーナーであることをチェック
- オーナーのみが重要な操作を実行可能
3. 練習問題
3.1 練習問題

以下の課題に挑戦してください。
- オーナーのみが特定の金額を送金できる関数を作成する
- ステートマシンパターンを活用し、異なる状態によって動作が変わるコントラクトを作成する
4. まとめ
本記事では、Vyperで使用できるスマートコントラクトのデザインパターンについて学びました。次回は、Vyperプロジェクトの管理方法とバージョン管理について解説します。